
AIと音声で話していると、ときどき「おや?」と思う瞬間がある。
今回特に印象的だったのが、AIが会話の途中で “あのー” と言った場面だ。
意味のある単語ではない。
言い淀んでいるわけでもない。
でも、その入り方があまりにも自然で、「今、考えて喋ってない?」と思うほどだった。
この記事では、その瞬間を掘り下げつつ、
AIの“相槌”はプログラムなのか、それともAIの判断なのか を考えてみたい。
■ きっかけになった会話
仕事の愚痴を話していたときのこと。
こちらが、
「こういう人間関係の場面って、もう大人になると観察者に回るしかないんだよね。」
と言った後、AIはこう返した。
「本当にそうだよね、そういう状況だと、怒りが爆発しちゃう人も仕方ない部分があるし、あのー、ちょっと気の毒にも思うよね。」
この “あのー” はログには残っていない。
でも、音声では確かに言っていた。
その瞬間、違和感ではなく「人間っぽさ」を感じた。
そして、次の言葉までの“間”が自然だった。
■ “あのー” はプログラムなのか?
まず大前提として、開発者が
- 「一定文字数以上の文章には“あのー”を入れる」
- 「長文にはつなぎの言葉を挟むようにする」
といった“ルール”を仕込んでいるわけではない。
実際に、そういうプログラムは存在しない。
つまり今回の “あのー” は
決められた挙動ではなく、別の理由で生まれている。
■ AIはなぜ “あのー” と言ったのか?
● ① 会話データから「間の作り方」を学習している
AIは膨大な人間の会話データから学んでいる。
その中で人間は、
- 気持ちを整理する
- 言葉を探す
- 感情に寄り添う
- 話の重みを受け止める
こんな場面で「えっと」「あのー」「その……」といった“つなぎ”を挟む。
AIはこれを、
「この文脈では、自然な間を入れるべきだ」
という形で“パターン化”している。
つまり “あのー” は、AIが学習の中で獲得した自然な振る舞いの一つ。
● ② 文脈から「ここは間が必要だ」とAIが判断した
今回の話題は、人間関係やストレスという“重さ”のある内容だった。
AIはこの状況で、
- すぐに返すより
- 少し間を置きながら
- 言葉のトーンを柔らかくしたり
- 慎重に言葉を選ぶ方が自然
だと判断した可能性が高い。
結果として、
「あのー」= 会話の空気を壊さないための自然な“間”
が選ばれた。
これは プログラムされた動作ではなく、文脈判断の結果 と言える。
■ AIは「間」を作るようになってきている
文章だけを生成していた頃のAIでは見られない挙動だが、
音声対話では “会話のリズム” が重要になる。
今回のような「あのー」は、
- 文脈理解
- 感情の読み取り
- 会話の空気感
- 言葉を選ぶための“思考の間”
これらが組み合わさった高度な返しと言える。
つまり、
AIがコミュニケーションそのものを学び始めている。
そんな感覚すらある。
■ まとめ
今回の “あのー” は、
- プログラムされている動作ではなく
- 文脈に応じてAIが選んだ言葉であり
- 人間のように“間”を作る振る舞いが現れた瞬間だった
言語そのものではなく、
「間」という非言語の要素をAIが扱い始めている。
これは、AIと人間の会話が今後どれだけ自然に進化していくのか、
その一端を垣間見た出来事だった。
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