
結論からざっくり
筋トレ後にプロテインを飲むと、筋肉の修復と回復が早く進みます。理由はシンプルで、トレーニングによって筋肉が「栄養を欲している状態」になり、そのタイミングでタンパク質を補給すると合成反応が一気に高まるからです(注1: Schoenfeld, 2013)。さらに炭水化物を組み合わせることで、筋肉のエネルギー源であるグリコーゲンも効率よく補充できます。
プロテインが筋肉回復に効く仕組み
トレーニングをすると筋肉は微細な損傷を受けます。これを修復する過程で筋肉は以前よりも強く大きくなるのですが、このとき必要不可欠なのがタンパク質=アミノ酸です。
プロテインパウダーを摂ると、体内で消化されてアミノ酸に分解され、血液に乗って筋肉細胞に届きます。ちょうど壊れた家を修理するために新しい木材やレンガを運び込むようなイメージです。
また、研究でも運動後に十分なタンパク質を摂取することで筋肉の合成が増えることが確認されています(注2: Morton, 2018)。つまり「トレーニング刺激」と「栄養補給」のセットがあってはじめて回復が本格的に進むわけです。
インスリンの働きと炭水化物の役割
ここで忘れてはいけないのが「インスリン」というホルモンの存在です。インスリンは主に炭水化物を摂ったときに分泌され、体内の栄養素を細胞に運ぶ働きを持ちます。
アミノ酸もインスリンによって筋肉細胞へ効率的に届けられるため、プロテインと炭水化物を一緒に摂ると、筋肉の回復スピードはさらに高まります(注3: Ivy, 2004)。
たとえば、筋トレ後にプロテインシェイクだけでなく、バナナやおにぎりのような吸収の早い炭水化物を組み合わせると、インスリンが大量に分泌されて栄養の取り込みが一気に進みます。これが「プロテイン+炭水化物」の王道コンボと呼ばれる理由です。
「アナボリックウィンドウ」は本当にある?
昔から「運動後30分以内に飲まないと効果が半減する」とよく言われます。いわゆる「アナボリックウィンドウ」という考え方です。ただ近年の研究では、そこまで厳密に30分以内にこだわらなくても、数時間以内に必要量を摂れば十分だと示されています(注1: Schoenfeld, 2013)。
とはいえ、筋トレ直後は普通の食事を摂るのが難しいことも多いので、吸収の早いプロテインシェイクを先に入れておくのは合理的です。体の状態を考えると、「できるだけ早めに」という意識は持っておいて損はないでしょう。
朝のプロテインも効果的
実は、筋トレ後だけでなく「朝起きてすぐ」も効果的なタイミングです。寝ている間は何時間も栄養を取っていないため、体は軽い飢餓状態にあります。ここでプロテインを摂れば、体に素早くアミノ酸を補給でき、筋肉の分解を抑えることができます(注4: Areta, 2013)。
忙しい朝にしっかり食事を摂れない人にとっては、シェイク1杯で栄養を補えるのも大きなメリットです。
実際の取り入れ方
ここまでを整理すると、効果的な摂り方はこんな流れです。
- 筋トレ後すぐ:ホエイプロテイン30gを水に溶かして飲む
- その後30〜60分以内:炭水化物を含む食事(おにぎり、パスタ、フルーツなど)
- 朝起きてすぐ:軽めにプロテインを1杯(食事を摂れないときの補助として)
このようにタイミングを工夫することで、筋肉の回復と次のトレーニングへの準備を効率的に進められます。
私ならこうします
私なら、筋トレ直後にまずプロテインを1杯。その後は食事で炭水化物とタンパク質をしっかり摂るようにします。プロテインはあくまで「補助食品」なので、基本は食事から栄養を取ることを重視しています。
プロテインを常備しておけば、仕事や外出で食事がとれないときにも安心です。人によって生活リズムは違うので、「無理なく続けられる方法」で取り入れるのがベストだと思います。
脚注
- 注1: Schoenfeld, B.J. (2013). Nutrient timing revisited: is there a post-exercise anabolic window? Int J Sport Nutr Exerc Metab.
- 注2: Morton, R.W. et al. (2018). A systematic review, meta-analysis and meta-regression of the effect of protein supplementation on resistance training–induced gains. Br J Sports Med.
- 注3: Ivy, J.L. (2004). Regulation of muscle glycogen repletion, muscle protein synthesis and repair following exercise. J Sports Sci Med.
- 注4: Areta, J.L. et al. (2013). Timing and distribution of protein ingestion during prolonged recovery from resistance exercise alters myofibrillar protein synthesis. J Physiol.
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