
減量を続けていると、体重や見た目の変化が鈍くなる時期がありますよね。そんなときに役立つ考え方のひとつが「リフィード」です。ここでは、チートデイとの違い、期待できる効果、活用のコツを整理します。
リフィードとチートデイは同じ?ちがいます
「たくさん食べる日」という意味で混同されがちですが、中身はけっこう違います。
- チートデイ:停滞打破を目的に、1日に必要カロリーを大きく上回る量を“好きなもの中心”で食べる方法。高脂質・高糖質になりやすく、消化器への負担や体脂肪の増加リスクが上がります。
- リフィード:炭水化物を中心に計画的に増やすやり方。脂質は抑えめ。狙いは、筋グリコーゲンの回復や、下がりがちな代謝の立て直しです。
「停滞を破るために一時的に摂取量を上げる」という点は同じでも、質と配分が違う、というイメージです。
なぜリフィードが役立つの?
減量中は「摂取<消費」の状態が続き、代謝が下がりがちです。そこで、炭水化物を中心に一時的に増やすと
- 筋肉内のグリコーゲンが回復し、トレーニングの出力が上がりやすい
- 甲状腺の働きが持ち直し、代謝の落ち込みを和らげやすい
- 脂質を抑えるため、同じ「たくさん食べる」でも体脂肪の合成に傾きにくい
ポイントは、炭水化物:増やす/脂質:抑えるの設計にすること。結果として「元気が戻るのに、脂肪は増えにくい」がねらえます。
海外のボディコンテスト選手やコーチのあいだでは、“ハイカーボ・ローファット”のリフィードが停滞時の第一選択という意見が多いです。反対に「チートデイはメンタルのガス抜きとしてはありだが、体脂肪管理の観点では不利」という声もあります。
どのくらい食べればいい?
目安は人それぞれですが、実務的には次のように調整すると扱いやすいです。
- カロリー:メンテナンス(維持)~やや上回る程度
- 炭水化物:ふだんの2~3倍を目安に増量(※体格・活動量で調整)
- 脂質:ふだんよりしっかり控える(揚げ物・菓子・ピザなどは避ける)
- たんぱく質:ふだん通り(体重×1.6~2.2g/日あたりを継続の目安に)
※元記事の「3~5倍」という表現は、体格や普段の摂取量によってはオーバーになることもあります。まずは2倍前後からテストし、体重推移・むくみ・トレーニングの出力で微調整するほうが安全です。
弱点部位の強化に合わせると効果的
せっかくグリコーゲンが満ちやすい日なので、伸ばしたい部位のトレーニングと同じ日に合わせるのがおすすめです。
- 計画例
- リフィード前夜:炭水化物を少し増やして前補給
- リフィード当日:弱点部位を最優先でトレーニング
- トレ前後:消化のよい炭水化物(白米・パン・麦めし・マルトデキストリンなど)を配しやすい
- 一日の脂質は低めをキープ
「トレ前~直後に炭水化物を集中させると、主観的な出力と回復の手応えが上がる」という立場が一般的です。一方で「一日の総量が満たせていればタイミングは細かく気にしすぎなくてよい」という見解もあります。ご自身の消化のしやすさで選ぶのが現実的です。
1日だけ?連続させる?(上級者向け)
リフィードは1日だけでも効果を感じやすいですが、2~3日連続で入れると、よりグリコーゲンが満ちやすく、代謝の戻りを実感しやすい、という考え方もあります。
ただし、連続日数を伸ばすほど脂質管理や総量の見極めが難しくなるので、以下の順で試すと安全です。
- 月1回・1日からスタート(低体脂肪者は頻度↑も)
- 体重・見た目・トレ出力の変化が安定してきたら、月1~2回・2日連続
- それでも停滞が長い場合、3日連続を短期的にテスト(脂質はより厳密に)
「3日連続のほうが代謝の落ち込みを抑えやすい」という報告も紹介されていますが、個人差が大きい領域です。連続するほど、塩分や水分の影響で体重が増えやすく見えます。見た目とトレーニングパフォーマンスの回復を指標にするのがコツです。
リフィード日の食べ方のコツ
- 主食は消化がラクな炭水化物を中心に(白米、もち麦、食パン、うどん、ジャガイモ、マルトデキストリン等)
- 脂質は極力ひかえめに(揚げ物・スイーツ・ピザ・ナッツ大量摂取は避ける)
- 塩分と水分も増えるので、翌日のむくみは想定内と考える
- 夜だけドカ食いではなく、朝・トレ前後・夜に分散
- 翌日は通常の減量食に戻す(増やした脂質を引きずらない)
かんたんモデル例(体重70kgの方の一例)
- たんぱく質:140g前後(いつも通り)
- 脂質:40~50g程度に抑制
- 炭水化物:ふだんの2倍を目安に増量(例:250g→500g)
※体格・活動量・普段の設定に合わせて必ず調整してください。
まとめ
- リフィード=炭水化物を計画的に増やす日。脂質は控えめに。
- 目的は、グリコーゲン回復・代謝の持ち直し・トレーニング充実度の回復。
- 弱点部位のトレーニング日に合わせると、体感のリターンが大きい。
- まずは1日から。必要に応じて2~3日連続も検討(上級者向け)。
私ならこうします
- まずは2~3週間に1回、1日リフィードから開始。
- 炭水化物はふだんの約2倍、脂質はできるだけ低く。
- 弱点部位のトレ日に合わせる。トレ前後に消化のよい主食を重点配置。
- 指標は見た目(張り・薄さ)、トレの出力、主観的な回復。体重だけで判断しない。
- 停滞が長い・体感が乏しいなら、2日連続を短期テスト。上手くいけば維持、合わなければ1日に戻す。
押し付けではなく、**「1日から」「2日試す」「3日は大会期など上級編」**と選択肢で考えると運用しやすいです。合う強度と頻度は人それぞれなので、体調や目的に合わせて微調整していきましょう。